
Apple IIcの後継機、Macintosh IIやApple IIGSより遅い1988年9月発表のApple IIc plusは外観はIIcと殆ど同じですがMPUに4MHzクロックの65C02が使われApple IIシリーズ最速となり、他にも以下の部分で変更が加えられています。
65C02の4MHz化は現在のMacintoshのアクセラレータと同様に早いクロックのMPUと遅いマザーボードのバスの間を高速なキャッシュとゲートアレーでインターフェースする方法で行われ、これは先に同様の製品を開発販売していたZip Technologies社のZip Chipのライセンスを得ることに依った。しかし、MPUとデータキャッシュを一体化してあるZip Chipは厚みが大きくそのままではIIc plusの匡体に納めることは不可能であった為Apple社のエンジニアの手によってキャッシュが外付けに変更されIIc plusに実装されている。

Apple IIc plusのキーボードはII GSのキーボードから10-Key部分を取り除いた配列になっています。

上がIIc、下がIIc plusのバックパネルです。IIcで不評であった「ロープの付いたレンガブロック」と呼ばれた電源アダプターから内蔵電源となった為、一番右のACアダプターを接続していたコネクターはACコードを接続するタイプに変更となり、モデムとプリンターのポートはMacintoshやApple II GSで使われ始めたミニサイズのものに変更されています。電源内蔵となった為、コネクターを自作してバッテリーで動かしていたユーザにとっては困ったことになりました。(しかし、苦情は殆ど無かったらしい。)

右側面の内蔵フロッピーディスクドライブが5インチから3.5インチ(容量800K byte)に変更された。800KのフロッピードライブはApple社伝統のモータによるオートイジェクト機構付き。
また、65C02 4MHzを採用した為、Apple IIcの様に読み書きに専用のMPUを持つインテリジェントドライブではない普通のドライブになった。このため、Apple IIcと3.5インチドライブ用にコピープロテクションを掛けられたソフトウェアでは動作しなくなったものもあった。

Apple IIc plusはヘッドホンの端子が無くなり、ボリュームはキーボードの上に移動した為、正面から見て左側面は何も無くなっています。
Apple IIcの製品化後、3年程経過した1987年7月頃から後継機としてApple IIc plusの開発が「Pizza、Raisin、Adam Ant」等のコードネームを与えられてスタートした。当初のデザインはMPUに65C02 1MHzをそのまま使用し、内蔵ディスクドライブのみ3.5インチ容量800K byteに変更するもので、容量の大きく小型な3.5インチドライブを採用することは大きなメリットであると考えられた。
しかし、65C02 MPU 1MHzで3.5インチフロッピーディスクドライブをコントロールし、生データを読み書きすることはスピード的に非常に困難であった。これは既に販売されていたApple IIc用の外付け3.5インチドライブがMPUを内蔵したインテリジェントドライブとしてこの問題を解決していたことにも現れている。この問題は外部に開発を依託したカスタムチップとバッファ用のstatic RAM 2K byteを装備することで解決したがドライブをコントロールするプログラムを書く作業は更に困難であった。正確なタイミングを得る為にApple社のプログラマーはアセンブラーレベルに止まらずマシンサイクルまで考慮に入れなければならなかったのである。その上、Apple IIc plusはそれまでのソフトウェア資産を引き継ぐ為や新しくでたドライブをサポートする為に何種類ものドライブをディジーチェーンでコントロールしなければならなかったのである。
この困難な作業も終わりに近付いた頃、1MHzの65C02で良いのかと言う疑問の声が上がった。ライバルのIBM PCやそのクローン達は毎年のようにクロックアップをくり返していたからである。

Zip Technologies / ZIP CHIP II-4
そこで、MPUを65C02 1MHzから4MHzにスピードアップすることにした。これは困難を極めていた内蔵3.5インチドライブのコントロールは勿論、その他の機能にも大きくプラスになるはずである。ドライブをコントロールする為のカスタムチップも不要になるはずである。(結局、開発スケジュールが詰まっていた為に変更せずそのまま使われた。)Apple社は4MHzクロックの65C02をZip Technologies社からZip Chipをライセンスする方法で実現することにした。Zip ChipはApple IIシリーズの6502と差し換えることで4倍のスピードが得られる4MHz 65C02とキャッシュRAMをCPUチップの形に集積したものでIIe用等で既に実績があった。Zip Technologies社はApple社がApple IIc plusにZip Chipをそのまま使うように要請したがZip Chipは厚みが大きくそのままでは狭いApple IIc plusの匡体には納まらなかった。そこでApple社のエンジニア達はMPUとキャッシュを分離することでこれを解決し、Apple IIc plusが生産ラインに流れ出した。
その後、Apple II GSから拡張スロット除いた残りの機能をApple IIc plus同等の匡体に納めるアイディアも浮上したが賛同を得られず中止になったとのことである。