1980年の3月14日からサンフランシスコで開催された第4回WCCFでMICROSOFT社はApple II用にそれまで誰も思い付かなかった大変面白いカードを発表しました。このカードが出る前にも沢山の拡張カードがApple IIの機能を拡張する為に作り出されたのですがこのカードは反対にApple IIを手足に使う物でした。
Z80 CPUの乗ったこのMICROSOFT SOFTCARDはApple IIに強力な拡張性と柔軟性を付け加える製品でCP/M operating system version 2.2とMICROSOFT製BASIC-80 version 5.0とともに$399で販売されました。
このカードをApple IIの0番スロット以外に差し込み、付属のディスクからBOOTするとマザーボード上の6502 MPUは動作を止められカード上のZ80 CPUが動き始めます。そしてマザーボード上の6502 MPUは画面の書き換えやフロッピィディスクドライブのコントロール、キーボード等のI/Oを受け持ち、必要なときだけ動くことが許されるZ80 CPUの下請けとなります。つまりApple IIがZ80をCPUとするコンピュータに変身するというカードだったのです。
MICROSOFT社はSOFTCARDを強力にサポートする製品を同時に発表しました。FORTRANやCOBOLのコンパイラ、アセンブリランゲージの開発システム、BASICコンパイラ、muMathやmuLisp言語、Apple Language System互換の16K byteメモリー拡張カード(MICROSOFT RAM CARD)等です。
Apple IIはSOFTCARDによってCP/Mという新たなOSを得て、MBASIC、GBASIC、FORTRAN、COBOLなどの本格的な言語プロセッサーを含む、当時最大のソフトウェア資産であった数千種のCP/Mプログラムを使える様になりました。
この種の拡張カードは、これ以後、6809、8088、8086、68000.....と、新しいCPUが発表される度に必ず新しい拡張カードが開発されApple IIは常にハードもソフトも最強のパーソナルコンピュータであり続けました。
(余談)当時、MICROSOFT社はCP/Mベースの言語ソフトや開発ソフトに力を入れており爆発的に売れているApple IIのユーザーをターゲットにしたソフトウェアの販売を目論みプロデュースした様です。MICROSOFT社のこの計算通り、このカードは最初の1年で25,000ユニットを販売するヒット商品となりました。このカードの登場でApple IIユーザーは新たな可能性(と、言うか楽しみ方)をApple IIに見い出したと思います。これはその後新しいCPUが出る度に新しいカードが出たことでも判ります。
SOFTCARDのパッケージはカードと13セクターと16セクターのCP/Mマスターディスク各1枚、2册のマニュアルで構成され、カードはBurtronix社(California州Huntington Beach)のDon Burtisがデザインし、初期のApple II関連のハードウェアで有名なCalifornia Computer Systems社(California州Sunnyvale)が製造しました。
SOFTCARDはslot 0以外ならどの拡張スロットでも動作し、Apple Language SystemやMICROSOFT RAM CARDを使用した場合は本体の48K byteに加えて12K byteのメモリーが使用できます。SOFTCARDは残念ながらApple IIIでは使用できません(後にApple III専用の製品が出た)。80桁表示ビデオカードを使用することは可能です。
MICROSOFT Z80 SOFTCARDの雑誌広告